1200年の時間が育んだ、手仕事のぬくもり。

誠実な手仕事が届ける、
心に馴染む手触り

塩沢の織物に触れたとき、どこか懐かしく、ほっとするような感覚を覚えるかもしれません。
それは、雪国の自然の流れに逆らわず、一糸一糸に心を込めて作られているからです。

効率を追わず、ただひたむきに積み重ねてきたこの「誠実な時間」は、
今や「国指定重要無形文化財」や
「ユネスコ無形文化遺産」として、世界でも高い評価をいただいております。
特別な主張はしませんが、身に纏うだけで心が静かに落ち着いていく。
そんな日常に寄り添う優しさと、目に見えない工程まで一切妥協しない職人たちが、
この布の確かな質感を支えています。

暮らしに彩りを添える、
四つの織物

1200年前から受け継がれてきた技術を大切に守りながら、
「今」の暮らしに合うようにと少しずつ形を変えて、四つの個性が生まれました。

01

越後上布

えちごじょうふ
ユネスコ無形文化遺産 / 国指定重要無形文化財

1200年の歴史のある織物です。
薄くて上質の布(上布)を織り上げるには細く裂いた上質の糸が必要となり、すべて手作業の為糸を紡ぐだけで数か月かかります。
1反が完成すると晴れた日に雪の上にさらし、日光と雪の化学反応(オゾン)で布を漂白します。
江戸時代では年間20∼30万反の生産が記録されていましたが、現在では30反程度の生産となっており「幻の織物」となりつつあります。

原料:苧麻ちょま(麻の一種)

原料苧麻(ちょま:イラクサ科の多年生植物)の茎の靭皮繊維(外皮の下にある柔らかい内皮)を細く裂いて1本1本つなぎ合わせて糸にする。
薄くて上質の布(上布)を織り上げるには細く裂いた上質の糸が必要であるが、糸が細くなればなるほど全ての工程(撚糸・手括り・染色・糊付・整経・製織など)が難しくなる。
相反する伝統技術(極細の製糸=苧績み技術と精密精緻な染織技術)の結晶が越後上布です。
指定昭和30年5月 国の重要無形文化財に指定
平成21年9月 ユネスコ無形文化遺産登録
指定条件重要無形文化財技術指定「越後上布」指定条項(文化財保護法より)

1 すべて苧麻(ちょま)を手積みした本製糸を使用する事
2 絣模様をつける場合は手括りによる事
3 居座機で織る事
4 皺(シボ)取りをする場合は湯揉み、足踏による事
5 さらしは雪晒しによる事
02

本塩沢

ほんしおざわ
国指定重要無形文化財

本塩沢は「塩沢お召」の名で親しまれる、350年の歴史を持つ織物です。
強撚糸(きょうねんし)が生む独自の「シボ(小さな凹凸)」が特徴で、織り上げた後に「湯もみ」を施すことで、この風合いが生まれます。

湯もみによる収縮を見越し、職人はあらかじめ幅を広く、模様を横長に設計して織り進めます。絹という素材と長年対話を重ねて生まれた職人技の結晶です。
心地よい「しぼしぼ感」と程よい厚みを備えた、春秋の装いに最適な一着です。

原料:絹

原料たて糸、よこ糸ともに生糸を使用する
指定昭和51年12月 国の伝統的工芸品に指定
技術又は
技法
1 先染の平織
2 たて糸の絣と、よこ糸の絣とを手作業により柄合せし、絣模様を織り出す
3 地糸に使用するよこ糸は、米糊、蕨糊、布糊を用いる事
  「のり付け」をした後「追ねん」をする事
4 絣糸の染色法は「手括り」・「手摺り込み」・「板締め」又は「型紙捺染」による事
5 シボ出しは「湯もみ」による事
03

塩沢紬

しおざわつむぎ
国指定重要無形文化財

越後上布の技術を絹織物にとり入れたものが塩沢紬です。
真綿から指先でつむぎだされた手紡ぎ糸には手作業ならではの太いところや細いところといった味が出ます。
織物となってもその様子は見て取れ、それがゆえに温かみを感じる着物となります。
糸の間にたっぷりと空気を含んだ質感は保湿性にも優れており、冬の装いに最適な一着です。

原料:絹

原料たて糸に生糸・玉糸を、よこ糸に真綿手紡糸を使用
指定昭和50年2月 国の伝統的工芸品に指定
技術又は
技法
1 先染の平織
2 たて糸に生糸・玉糸を使用し、よこ糸に真綿手紡糸を使用する事
3 よこ糸の打込みには手投杼を使用する事
4 絣糸の染色法は「手括り」「手摺り込み」又は「板締め」による事
04

夏塩沢

なつしおざわ

夏塩沢の歴史は意外に浅く、明治時代に誕生しました。
絹織りものとは思えないほど薄く、透け感が特徴です。
絹人気が高まる中で、「夏でも着れる絹織物を」と作られました。
「涼」を、単純に淡い色を着るのではなく、濃い色の着物の下に白を透けさせることで表現する粋を感じます。
シャリ感のあるいかにも涼感あふれる盛夏の織物です。

原料:絹

原料絹100%。極細の駒撚糸を使用
技術1 先染の平織
2 たて糸、よこ糸共に強い撚りを掛けた駒糸を使用

伝統工芸体験

一本一本無心になって織る時間はまるで瞑想。
心が凪いで行く感覚をお楽しみください。

塩沢織を使った小物づくり体験もございます。
心よりお待ちしております。